ズキズキと痛む腹をかばいながら 窓越しに月を見ていたよ
勝手口のきたねぇ窓ガラスから望む満月は
うっすらとぼやけて ロウソクの灯火みたいだ
父さん
母さんは俺の腹を蹴るんだ
父さんに顔が似てきたと言って、毎日蹴る
大丈夫だよ 父さんとの約束通り、こちらから手は出していない
「父さんが出て行っている間、母さんを守ってくれ」
それが、約束だから
野球はやめたよ 母さんは、父さんが好きなものを嫌がるんだ
サッカーも楽しいけれど キャッチボールができないのが 少しさみしい
友達とは仲良くやってるよ 明るく接してる
「友達を守れるような強い男になれ」
それも、約束だから
なぁ父さん なんで帰ってこないんだ
かえってきてよ かえってきてくれ
げんかいだよ どうかおれにきづかせないでくれ
なぁなぁ きづかせないでくれよきづかせないで
おれをまもってくれるにんげんが このよにいるのかということを
おねがいだかえってきてよとうさんおねがいだ
おねがいだおねがいだおねがいだよ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
…ネガイダ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
/i
/ i /|
/ i / |
/ | / |
/ __|___ _ / |
/ , ' `ヽ  ̄` ___ _i
/ / i / i ヽ
i ′ | ヽ
i i ┌──────────
| / ̄ ̄ ̄ ̄/ i. │
i i____/ i. │ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
', // , ' │
\ / └───/──────
ー _ _ ∠
/ ̄ \ ---‐‐' |\
/|___ \___/ ___|. \
/ / \ / \ / ヽ,
|\ヽ `ヽ / / \ i
| \ヽ \/ ' / \/ヽ
(`ヽ \ヽ_ ====≡≡≡≡≡≡/ `ヽ i
(`ヽ | | ̄ / `ヽ i
(`ヽ. | | ゝ´ i /
 ̄... | | 二 / /
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
:.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:. :.: .:.:. :.: ..
:.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:. :.: .
:.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.:
:.:. :.: .:. :.: .:.
∧∧
(;^Д)
0Y⌒Gヽ
(_(__ つ {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄}l}
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌─────────
│ …誰かいる?
└─────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【忘れるべき者】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
カチ…
/ ̄XII ̄\
// ̄.||. ̄\\
// ./ .\\ カチ…
| |_ / _| |
| | ̄ |  ̄| |
\\ .//
\\_.||._//
\_VI_/
+6時5分+
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌──────
│ ………
└──/───
∧ ∧
[(^Д^;)]
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| | ̄ ̄ ̄ ̄| .|
| | @ @| .|
| |@ @ | .|
| |____| .|
|.________|
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌─────
│ ………
└──\──
∧ ∧ | /
[(;^д)] _ _ _ _ −
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| l l
| | ̄ ̄ ̄ ̄| .| l l
| | @ @| .| l l
| |@ @ | .| l l
| |____| .| l l
|.________| l._ _ _ _l
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
\从从从从从从从从从从从从/
< 今日も起きちゃったよ >
< もおおおおお!! >
/∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨∨\
バンバン O
lil<<; )⌒ヽ
从 O `Gー(___i]つ
(⌒ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄⌒)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ボクの名前は枯木タカラ
枯れ木と書いて「こぎ」と読む
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌─────────
│ 3番さんのせいだ!
│ 3番さんのせい!
└───O─────
0
。
∧∧ .( ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
(,; д)(_____)
(( .〈7] i]つ
/ 、 l
〈_/ヽ_)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
両親はいない。
しっかりものの父とのんびりものの母
二人共ボクが中学生の時、火事によって死に別れた
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
イッチニー
/)ヽ∧
((./ /;^д)
ヽ <y>ヽ サンシー
/ (/
.(_/`ヽ_)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
兄弟もいない
恐らく一人っ子だ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││
││
││ ┌──────────
││ │ 87番、起床しました
││ └──/───────
__ ││
丶看守./ ││ ∧ ∧
( `Д´)ノ ││ (Д^,, )
. /( ^v^) ││ UU[ ヽ
││ ││ (_(_i]_)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「おそらく」、というのは変な言い回しかもしれないが、
本当によくわからない。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
∧∧ モグモグ
(,,^ - ) ))
/ <つ= 、∀ 、i><゚> ,
とと_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄}l}
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あの火事以来、ボクは極端に物覚えが悪くなってしまい
特にあの日以前の事は、うまく思い出せない
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
懺悔室の心理アドバイザー、ネーさんは
/
/ ┌─────────────
│ それは心の防御反応だよ
λ_λ │ 思い出さないほうがいいのさ
/ / ミ `ー´ 彡 └──/──────────
/ / / iyi ) / /
ヽ⊃ ヽ / /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
…という
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
| |
| |
| | ,─^─、
チョコレートナイデスカ? | | マタコンドネ .i幵幵幵i
∧∧ | | λ_λ i幵幵幵i
(,,^Д) | | (ー´ 彡 ヽ,ニニニ,/
/7] U | | 0 iyi )')  ̄ ̄ ̄ ̄|
( _ ヽ| ̄ ̄ ̄.| | ̄ ̄ ̄|ヽ_,ハ ヽ |
|_|L,i__i| .| | | i lし`ー'. |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
どうやらボクの深層心理は、こんなに落ちぶれたボクを
未だに守ろうとしているらしい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
|\ /\ ┌───────
| ヽ/. \ .│ ・ ・ ・ ・ ・
l ヽ.---‐‐‐- . └──/────
| i`ヽ `ヽ
| イ i
l i__i i
i 〃 /
\ /
ゝ‐‐‐‐‐‐‐丶ゝ
/ \く/\
/. \! \
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
…ボクたち家族を襲った炎。それは放火によるものだった
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
∧∧
( _ )
(i i)
|ー‐|
し`J
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
―――犯人は
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<`ヽ、
ヽ.: メ{
,. イ } .: .:て
(: . { / .:7⌒ヽ ` \ 、 从
\.V .: .{ ” ヽ V⌒`
┏┓ ┏┳┓ ┏┓ ` :..、ヽ ` , ヽ、 } |
┏━┛┗━┓┃┃┃┏┛┗┓ 从 ).ノ ” \、 )`ー' ,ノ
┗━┓┏━┛┗┻┛┃┏┓┃ ⌒ヽ、 ( ' . .: }ヽ , ( . .:.:r'
┏┓┃┃┏┓ ┗┛┃┃┏┳┳┓ }て \ 。 : ノ .: ソゝ; . ヽ,.ソ
┃┃┃┃┃┃ ┏┛┃┗┻┫┃ r人 { ` 、 " .: ,; .: ., /
┗┛┗┛┗┛ ┗━┛ ┗┛ }. :. ノ , ,;:. ) .: , " /
(:. ,:. 从,,ノ.:/ ,;.: ' .ノし': .: ," (
.:从,)ノ':.:, ⌒ヽ .;/ .: ,,; 从 .:.., 从 ヽ
,;;'人,,ノ;ノヾ;,., }/ `,;.: ",, ;.:て , ,, ,,, .:. `,;" 〉 '
,;,、 ,;ノノ .:;.(. ,.( ,. ∧∧ ノ{ ゙ 、 ,”,; , .: ,; " / ,, ;
,、 ,.:;(゙: ,.:.人:. ヾ,、. (;:_ ) ⌒ヽ ノ{ .: ." ∴.: ,; .:"
,ノ (,.ノ,、ヾ , .,;ノ (;. (:, ,(i;::: i) \”. :. ,し'/; ,;;: ; :..
( ,;. ,:ノヾ; . ,;) ,、 ヽ;,:.;)..从从‐| ` . ,. .: ( .: #. .:ノ{从:.: . "
,):. , 从ヾ;. '',人ヾ,ヾ:J ___,,,.:; ,, ,; ,; .:.: ,; .; ;,.; て__
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ボクの同級生。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏┓ ┏┓
┏━━┛┗┓┏━━┛┗┓
┗━┓ ┏┛┗━┓ ┏┛
┏┛┃┃ ┏┛┃┃
┏┛┏┫┃ ┏┛┏┫┃
┗━┛┗┛ ┗━┛┗┛ ,ィ
'´ / 7'′ , イ , ゞ ,
t (. ,ィ ,イ' ( /( ,ィ ,ィ , i' /|
`−r'´j { , ,} てyZ. } ´{ィ/゙i ,.ィ {
/´ィ て_ / イ' ,イ ,' z
゙ ′ , イてィ′ レ
. ,イ '´ ┏┓ ┏┓
'7 ┏━━┛┗┓┏━━┛┗┓
> >z, ,イ /! .┗━┓ ┏┛┗━┓ ┏┛
/ イ 7 ,ィ ´ レ' ┏┛┃┃ ┏┛┃┃
{ , ュ. √ z. ,ィ ┏┛┏┫┃ ┏┛┏┫┃
7 '´ . /,イ { ,,. ,イ/ェノ ┗━┛┗┛ ┗━┛┗┛
i' ′ナ/レ イ' ,イ ,' z
... 彡 z_, ィ'´. /'. ハ i / ',i', ,ィ
, イ /, Z ,イ ,ィ i 弋、i.. ヽ ,イ r'( ,.ィ
/ , ′ゝ' } ゙`´,. ィ'r゙ ` 弋ュ、 ,ィ/ ヾ、`¨´
. i ,ィ ,イ/i /. /'. i , ト、  ̄~゛'ー−ェ彡'´ , ィァ' 廴. ,ィ
ィ ヾ!. , イ/ ,ィ√ i!. ,,,, ェ'´. ド!. iハ i `ヽ、 _ r'´`´_,..-‐'.ア ,ィ',.ィ''ゞ'^´
' イ 廴/i',イ ,'!_,廴ノ 乙ィ ,! ` ゞ|k=゙¬'´z_> ` ー'´ ゞ彡ゞ´
', ( `レ' } ,ィ. マ マ`ヽ、 `ゞ==Z. イェェェァ
ボクは本人からはっきり聞いた
ボクら家族を選んだのに、特に理由はないのだと
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(
) ノノ
(( ,,,;)
) ノ (
( _ ⌒) ) ::) ) )
( ( (:: .( ( ::(
) ノ )::) ) ::)
)ノ l/ //
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(
) ノノ
(( ,,,;) ザッ
) ノ ∧∧ (
( _ ⌒) (ソ皿 ,) ) )
( ( / ^:^ ヽ ( ::(
) ノ G i) ) ::)
)ノ i___iノ //
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
/i
/ l
/ |
‐‐‐-- - ,,,,,__,,,,,,,,,,,,,,,,,,/ / |
\ ノ ノ / / | ,'
\ ヽ / / / | ./ ヽ | ,′
i \ ヽ /./ / /::::::::::_,,,,,,,,ヽ, / ,,,,,,,
,′ , / / / / /''' ̄ ̄ ' ( ,-‐‐
ノ ( i'' ./ / /__,,,,,,---‐‐‐'''| \ )
( 丿 |''' ./ /三三三三三三:::::: i ゝ `ヽ
ヽ :,' ',/ /:::三三三三三三:::::: / ( ,'
丿 ,' ザ \/:::::::::::::ヽ======vヽ::::::/\ `ヽ `ヽ
( ( リ .' ー---二二二二'../__|\ i ノ
) `ヽ ッ / \ :::::::::::/\::::::/ ̄ \ ζノ
,' :,‐‐‐'' / :\::::::/:::::::::∨:::::::::::: \ ',
ソ ./ ::::::::::丶::::::::::::::::・::::::::::::::::::::: ノ
( | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::・:::::::::::::::::::::::!
ヽ
ボクは憎んだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
彡
彡 彡
彡 ( ヽ 彡
(,' ヽ i ⌒ i ( \ ┃ ┃┃
彡 i i | | | ⌒ | ━╋━┓┃┃
i⌒ヽ | ヽ ヽ-i .|ヽ ┃ ┃
丶 'ヽi i ┃ ┃
i ' ) ) ) ,'. ┃ ┃
ヽ ,'
ヽ i
\ _|__ ┃ ┃
\/ ̄ ̄ ̄ ̄ `ヽ ┃ ┃
,' i ┃
i ヽ. ┃
┛
周りが見えなくなるほど
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┼┐ll ガ ┃ ┃┃┃ ┃
/ ./ ││ リ ━╋━┓┃┃┃ ┃
/ ┃ ┃ ┃ ┃
ガ ガ ┃ ┃ ┃
リ リ ┃ ┃ ┛
ガリ
┃ ┃┃┃ ┃ ガ ガリ
━╋━┓┃┃┃ ┃ り
┃ ┃ ┃ ┃ ┼┐ll
┃ ┃ ┃ ガリ / ./ ││
┃ ┃ ┛ /
┃ ┃┃┃ ┃ ガリ
ガリ ━╋━┓┃┃┃ ┃
┃ ┃ ┃ ┃ ガ
ガリ ガ ┃ ┃ ┃ リ
リ ┃ ┃ ┛ ガリ
憎んで憎んで憎み続けて
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
∧∧
(^Д^,)
|<y> ヽ
とししと .)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
:.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:. :.: .:.:. :.: ..
:.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:. :.: .:.:. :.:
_____ :.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:
| ___. | :.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:
| |卅卅卅| |
|  ̄ ̄ ̄ .|
| :| ∧∧
| :| (^Д^,)
| :| |<y> ヽ
| :| とししと .) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
…気づけば、忘身刑。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
:.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:. :.: .:.:. :.: ..
:.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:. :.: .:.:. :.:
_____ :.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:
| ___. | :.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:
| |卅卅卅| | < カツ… カツ…
|  ̄ ̄ ̄ .| l /
| :| ∧∧ −
| :| (Д^ ,,)
| :| |<y> ヽ
| :| とししと .) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
これは、憎しみにかまけて自分のために生きなかったことへのツケだ。
これは、いつまでも苦しみを乗り越えられない自分への救いだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
:.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:. :.: .:.:. :.: ..
:.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:. :.: .:.:. :.:
_____ :.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:.:.: .:
| ___. | :.:. :.: .:. :.: .:.: .:. :.: .:. :.: .:
| |卅卅卅| |
|  ̄ ̄ ̄ .|
| :| .∧∧
| :| (д^,,)
| :| とヽ [ヽ ) )
| :| し(,_i]つ {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今ボクはそんなことを自分に言い聞かせながら、
忘身の日を待っている
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
|
/ |
__ - コンコン>|
ヽ看守/ |
( `Д´) |
<( ^y^) |
| \ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
_______
| || .|| .||ヽ.|| .|| |
| || Φ(,||コ^||)Φ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┌─────────
│ 87番か どうした。
__ └──/──────
ヽ /
( )
(ヽ ノ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌─────
│ ……
└─────
┌─────
│ えーと
└───\─
_______
| || .|| .||ヽ.|| .|| |
| || Φ(,||コ^||)Φ |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
__
ヽ /
( )
(ヽ ノ)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌─────
│ 安藤さん
└─────\从从从从/
<違う!!>
/∨∨∨∨イッショニスンナ
┌────────────
│ すみません、宇和島さん
└────────────
┌───────────────
│ あ、消去法できやがったな てめー
└───────────────
┌────────
│ じゃあ小根岸さん
└──────┌────────────────
│ そうかい小根岸より印象薄いか俺は
└────────────アンナ無口ヨリ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││
┌───────
│ 毛利だよ…。
└──/────
┌────────────
│覚えてくれなくいいけどさ…
└\───────────
││ ┌───────
││ │ すみません…
││ └──/────
フー __ ││
.ヽ看守/ ││ ∧ ∧
<( Д li) ││ (Д^; )
(^v^ )> ││ UU[ ヽ
< / .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌─────── ││
│ で、どうした ││
└─\───── ││
││ ┌─────
││ │ あの…
││ └──/──
. __ ││
. ヽ 看/ ││ ∧ ∧
( `) ││ (Д^,, )
./( )ヽ ││ UU[ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
/ヽ, /ヽ,
┌───── / ', / ',
│ ここって. / ', / .',
└──\── / ', / ',
/ '___/ .',
/ ',
i/ \i
/ :::/ヽ:::::::::::::::::::::::/ヽ::: ',
,' :::/:::::::ヽ::::::::::::::::/:::::::i::::: i. ┌──────────
i :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | │ “出る”んですか?
', :::::::::::::┌――ヘ::::::::::::: ,'.. └─────/────
/ ̄ヽ ::::::::::::::|_i⌒i⌒i_i:::::::ヽヽ /‐‐‐-,
/ ̄ ̄ヽ\ ::::::::::::::',___/:::::::: // ̄ ̄`ヽ
/ ト ヽ |/ヽ‐‐‐‐::::::::::: ‐/ / イ i
i | | | | `´ |_ \::::::::::::::/ _/‐´ | | | |ハ
ヽ ソ.丿ノ / / .\ / \l ゝノノ ソ |
| / ―――/____| /
. \___/ \____/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││ ┌─────────
││ │ 最近、ふとした時に
││ │ 声がするんですよ┌──────
││ └──/───── | おいやめろ
┌─── ││ .└──────
│ え゙ ││ ┌───────────────
└\── ││ │ ちゃんとは聞き取れないんですが、
. __ ││ │ なんだか男の声で
. ヽ看守/ ││ ∧ ∧ .│ 恨み節のような\从从从从从/
(lii Д) ││ (Д^,, ) └─/─────<やめろ!!>
./( 冫 ││ UU[ ヽ /∨∨∨∨∨\
/ \ ││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌──────────
│ そりゃお前らはいいよ ー‐─―――――――――――――――――──┐
│ 忘れて出てくんだから ..:i⌒i───i⌒i───i⌒i───i⌒i───i⌒i──┤
└\─────────.::| :::| ,,,,.| :::| .| :::| ./.| :::| | :::| |
│ | :::| | :::|--i'''' ::::| :::|ヽ‐‐,, . | :::| / | :::| | :::| |
│ | :::|-‐‐‐'''' | :::| ヽ____| :::|__,i  ̄| :::|二二==| :::| \ 从从从从从从从从从/
│ | :::| ̄ ̄ ̄| :::| ̄ ̄ ̄| :::|  ̄ ̄ | :::| | :::| < でもこっちはずっと >
│ | :::| u::::::| :::|::::::::::::::::| :::|:::::::: :: : | :::|\. .| :::| < ここで働くんだよ!!>
│ /.| :::| .:::<◎| :::| :;;;;;;;;;;;;:| :::|<◎>| :::|. ',. | :::| / ∨∨∨∨∨∨∨∨∨\
│. i (二i ) ::::::::| :::| :;;;;;;;;;;;;:| :::|:::::::: : | :::| .i ( i二) .| :::| |
│.. i. (三 ∪:::::::| :::|: :::::::::::::| :::|:::::u::: | :::| ,' 三 ) . | :::| |
│_〃|,,;;;|___|,;;;;|___|,;;;|___|,;;;;|/__|,;;;;| ヾ__|,;;;;|__.|
/\ /\
/. \. /. \
/:: \ / ヽ
┌──────── /::: \ ヽ
│ ごめんなさい… /::::: i
└────\─── /i i
/::::: ∪ i
i:::::: ∪ ,'
',::::: , '
\ ∪ /
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌────
│ ん? ┌──────
└──── │ あ、そうか
└──────
┌──────
__ │ 96番だ
ヽ看守/ .└──/───
(`Д´;)
V v^ )ヽ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││
┌────────── ││
│ 隣の居房だよ。 .││
│ 一昨日新しい ││
│ 受刑者が入ったんだ ││ ┌─────
└─\──────── ││ │ 隣…
││ └──/──
. __ ││
. ヽ 看/ ││ ∧ ∧
( `д) ││ (,^Д^,)
< ^v) ││ UU[ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌──────────────
│忘身刑がよほどショックだったか
│元々そういう奴なのか
│ずっとブツクサいってる暗い男だ
└──────────────
|回| _______ ________
|旦|;;;| | | || || || || || || ||
| | |_||_,,||_,,||_,,||_,,||_,,||_,,||_,
| 。 |
|ll= | |ii|
| lニニl |
| |
| |
_________________.| |_____________
;;;:::..........  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┌──────────────
│ まあ、ここではそんな奴は
│ 珍しくはない
└──────────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌──────────
│ 気が病んでるんだよ /ヽ /ヽ
│ 解錠時間に会ったら ヽ. / ヽ
│ よくしてやってくれ。 ヽ. / ヽ
└────────── / '., ┌───────
|,  ̄' ヽ .│ 歳もちょうど
, ' /`ヽ /`ヽ. ヽ │ お前くらいだ
/ i ヽ / i i.. └───────
i |
\ i二二ヽ ヽヽ ,'
┌───── ヽ,, |____i /
│ …ふーん '''‐‐‐‐--- --'''\ヽ
└──\── / \ / __ゝ ヽ
/ ̄/ \ / \ ヽ
i  ̄ ̄ ソ / ̄ 丶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌───── ││
│ 毛利さん. ││
└───── ││
┌───────── ││ ┌──────────
│ 俺. 仕事あるんだけど. . ││ │そもそも忘身刑って
└\──────── ││ │ どんな人が受けるん
││ │ ですか?
││ └──/───────
││ ┌──────────
____. ││ │ お前結構.ぐいぐい
. ヽ看守/ ││ ∧ ∧ .│ 来るな…
. (`Д´ ) ││ (Д^,, ) └──────────
(^v^ )> ││ UU[ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌───────
│ 忘身刑になる
│ 犯罪ねえ ┌─────────
└───\─── │ 一口で言うには
│ 難しいんだよ
__ └──/──────
ヽ看守/
(`Д´;)
└(^v^ )ヽ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌──────────
│まず大元となる規準は
└──────────
/ ̄ ̄ ̄ ̄\
i −−−−− i
|二二二二二二 |
.|ミ::::::::::::::::::i彡|
// ヽ\
i l ├─┤ | i
| l .| .| | |
 ̄  ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄  ̄
┌─────────
│記憶を消すに
│あたいするかどうかだ
└──────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
例えば
隣人を一人殺して、全く反省してない奴がいたら
lヽ,
|_:!.;
.||∧_∧
∩ @∀@)
ヽ )
∧λ | | |
(。;;。;#)つ:;;:メつ (__)_)
:::::::::::::::::::::::::::::::::.....
お前はどう裁く?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││
││
││ ┌───────
││ │ …死刑ですね
┌───── ││ └──/────
│ そうか ││
└─\─── ││
. __ ││
. ヽ 看/ ││ ∧ ∧
( `) ││ (Д^,, )
(く^v) ││ ∞ [ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
なら、隣人を一人刺殺してしまい
深く反省している人間は?
. ゚。 ∧_∧。 ゚
||_ 〈^)(^ヽ )
∧λ |,_l ヽ ヽ
(。;;。;#)つ:;;:メつ (,_(,_,、_)
:::::::::::::::::::::::::::::::::.....
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││
││
││
││ ┌──────────
││ │ …場合によりますね
. __ ││ └───/──────
. ヽ 看/ ││ ∧ ∧
( `) ││ (Д^,, )
(く^v) ││ ∩と[ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┌─/────────
│ 記憶を消す必要は? .┌───────
└──────────│無いと思います
└───────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
次、大量殺戮をして
深く反省してるなどと言い出した奴は?
. ゚。 ∧_∧。 ゚
||_ 〈^)(^ヽ )
∧∧ |,_l ヽ ヽ ∧λ
と'#:::0(;;゙o;;。)つ (、0;'。#)っ;;⊃ (,_(,_,、_) と´#;;メつ#!i;-゙)っ
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: :.:::.::::::::::::::::.. ::::::::::::::::::::::::::::::::........ . ..
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌───────
│ …死刑でしょう
└───\─── .┌──────────
││ │ 反省しているなら
││ │ 死をもって
││ │ 償えるはずです。
││ └──/───────
. __ ││
. ヽ 看/ ││ .∧ ∧
( `) ││ (Д ,,)
< ^v) ││ UU[ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
. ││
. ┌───── ││
. │ じゃあ ││
. └\──── ││
││
. __ ││
. ヽ 看/ ││ ∧ ∧
( `) ││ (д^,, )
< ^v) ││ UU[ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌──────────────
│ 隣人の飼い猫を一匹刺殺して
│ 全く反省してない奴は?
└──────────────
lヽ,
|_:!.;
.||∧_∧
∩ @∀@)
ヽ )
∧,,, | | |
<@;;, (メ_;。)@;;;)〜 (__)_)
::::::::::::::::::::::::::::::.....
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││
││ ┌─────
││ │ ………
. __ ││ └─/───
. ヽ / ││ ∧ ∧
. ( ) ││ (д^ ;)
(ヽ ノ) ││ UU[ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┌──/────
│死刑には弱い
└───────┌──────────────────
│でも懲役を終えた後、
│そいつが今度は人を
│殺しうると ―――― そうは思わないか?
└──────────────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌──────┐
│ だから消す │
└─────┐└────────────
│そいつの人格を作りあげた
│その経歴を
└────────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌─────
│ ……… ┌────
└───── │ボクも
└────
┌────────
│そういう人間って
│ことですね
∧∧ └──/─────
(,^Д^,)
/ <y>ヽ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌─────┐ ││
│ ……… | ││
└────┐└──────
│そうかもな
└──/────
││
. __ ││
.ヽ 看/ ││ ∧ ∧
. ( д) ││ (д^ ,,)
( ∞ ││ UU[ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││
┌─────────────
│ お前ほど
│ 「いい子ちゃん」が来るのは. ┌────────
│ 珍しいけどな │ ボクいい子ちゃん
└─\─────────── │ じゃないです
││ └──/─────
││
. __ ││
.ヽ 看/ ││ ∧ ∧
( `Д)ノ ││ (Д^ ,,)
( l^v) ││ UU[ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┌/────────
│ 褒めてんだから
│ 喜んどけよ
└─────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌──────────
│ 犯罪者に
│ 忘身刑がくだる決め手
└────\─────
┌──────────
__ │ もう一つ大きいのは
ヽ看守/ │ 再犯を繰り返す
(`Д´ )ノ │ 奴かどうかだ
(^v^ ) └──────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌─────────────
│そういう人間で
│一番多いのは詐欺師だ もしもし?オレオレ
│一度楽な儲け方を知ると C ∧_∧
│なかなか足を洗えないらしい ___ ○(・∀・ )
└───────────── /◎\……C( )
オレオレオレ
オレオーレ
__ フハハハ ┌──────────
_|__|_ │2番目が空き巣、スリ。
( ・∀・)') │これも同じ理由
[∪ ̄] ノ └──────────
我が名は怪盗
オレオレーオレオーレオレ
┌────────────
│こいつらは忘身刑で
│その甘い汁の記憶を消す
└────────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││
┌──────────
│ あと変な所で言うと
│ ヤクザかな
└─────/────
││
__ .││ エエ
ヤクザ .ヽ看守/ ││ ∧ ∧ ワカリマス
..コワイカラ (`д´;) ││ (Д^ ,,)
キライ V v^ )ヽ ││ UU[ ヽ
││ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┌─\───────────
│ あいつら懲役にすると
│ 「お役目ごくろう」とか言って
│ 結局組にもどっちまう
│ 忘身刑で「間引き」するのさ
└─────────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││
┌─────────────
│ 例外もあるぞ
│ 意外かもしれんが
│ ヤク中は忘身刑にならない
└────────/────
││
. __ ││
.ヽ 看/ ││ ∧ ∧
( `Д)ノ ││ (д^ ,,)
( く^v) ││ UU[ ヽ
/ │ ││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
┌────\───────────
│ 連中脳が委縮しちまってるからさ、
│ 忘刑台になんか乗せたら
│ 下手すると死んじまう
└────────────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
││
┌─────── ││
│ そんなとこだ ││ ┌──────┐
└\────── ││ │ じゃあな .┌─────
││ └─────┤ 毛利さん
││ └──/──
││
. __ ││
ヽ看守 / ││ ∧ ∧
. (`Д´ )ノシ ││ (д^ ,,)
<(^v^) ││ UU[ ヽ
/ │ .││ (_(_i]_) {l{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
|丶
| 丶
|\ | \
┌─────── | \ | \
│ 重罪人がいて | ヽ| \
└──\──── | /| \
',/ | ヽ
/ i
i ,'_
| ヽヽ / \ヽ
', / \ヽ
\ -‐‐‐ヽ / \ ̄ ̄/\
'''-二二__,,,,, / ゝ / ⊂ノヽ
/_\/ / \ (__ノヽ
/ / / / i \ /i
┌────────────┐
│ その犯罪の記憶を .│
│ 消すというのは─── │
└──┐ └─────
│十分な罰になるとおもいますか?
└───────────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┌─────
│ 思うよ
└───\─
┌────────
│ 俺 忘身刑
│ うけたくないもん
___ .└──/─────
ヽ /
( )ノ
<( )
/ │
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「ううん」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「ボクは、そうは思わない」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
毛利さんは真人間だから、忘身刑を罰と感じるのだ。
生きる道において必ず越えなければならないもの…
痛苦、抑圧、憎悪、後悔
彼らはそういった障害を一つ一つ乗り越えて生きてきたんだ。
そのことは彼らの誇りとなって、人生を明るく照らし始める。
彼らにとって、これまでの障害は自身の糧なのだ。
だから、記憶が消えるのを良しと考えられない。
ボクにとって忘身刑は救いだ。
ボクは乗り越えられなかった。その障害があまりも大きすぎて。
枷となり重りとなり、ボクの足を引き続けていたその記憶たちを
まっさらに洗い流してくれ、新しい人生を用意してくれる。
この刑は救いだ。
・・・ねぇ、刑事さん
あ い つ に と っ て も そ う だ っ た の で し ょ う か 。
平片。
ボク達家族を殺した男の名前。
平片。
奴のことを考えない日はない。
この手で殺してやろうという気持ちはもう随分と落ち着いたが、
怨恨の念は未だにボクの心の奥底に静かにくすぶり続けている。
平片。
ねえ、今なにしている。
用意してもらった人生の中で、幸せ?笑ってる?
平片。
忘身刑が救いならば、お前の贖罪はどこへ?
平片。
平片。
平片。
ねぇ、死んでよ。
死ね。
死ね。
死ね死ね死ね。
後悔して死ね
泣いて死ね
焼け焦げて死ね
自分で死ね
この世に呪いというものがあればいいのに。
ボクのこの憎悪の塊が呪詛となって、あいつを取り殺してしまえばいいのに。
そんなことを鬱々と考え日々を過ごしていた5月の昼下がりだった。
その人がボクの前に現れたのは。
つづく