( ノдヽ)「お前を見てると旧友を思い出す。
      30年も前に別れたきりでほとんど覚えちゃいねぇが、どことなく顔の作りが似ているんだろうな。」

その男はこう言うとまたにやりと笑い、ねとりとした視線をこちらに向けた。

( ノдヽ)「てっきりあいつの亡霊が現れたのかと思ったぜ。」

識別番号114番。罪状は空き巣の常習らしい。
54歳とのことだが、目の下に深く刻まれたクマと皺、浅黒くたるんだ肌、黄ばんでガタガタの歯並びは
彼に10歳も年老いた印象を与えていたし、
立てど時も座れども止まらぬ貧乏ゆすりや、クチャクチャと口を動かす仕草は
身なりはきちんとしているにもかかわらず、彼をひどく不潔に見せた。
ボクは彼のまとわりつくような視線から目をそらし、壁掛けの時計に目を向ける。
短針は7と8の間くらい。コンクリートのすきま風が気になりだした、秋の夜である。

( ノдヽ)「これも何かの縁だろう。
      時間もあるし聞かせてやろう、お前と似た顔の男の話。」

彼は冷たい畳の上にゆっくりと腰を下ろし、淡々と話し始める。




欲と憎悪で味付けされた、海に浮かぶひと皿の物語。

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つづく


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